音楽について

Mahlerの交響曲第8番を知ったのは,『涼宮ハルヒの憂鬱』を視聴したことによる.
この交響曲は,合唱付きの大曲であり,演奏者が千人規模に及ぶことから,千人の交響曲とも呼ばれている.

私は,ピエール・ブーレーズ指揮の盤と,サー・ゲオルグショルティ指揮の盤の二つを所有している.聴くのは専らブーレーズ版である.ブーレーズは,八十歳を過ぎた老齢の指揮者であり,著名な現代音楽の作曲家でもある.高齢であるにも関わらず,このブーレーズマーラーは良く統御された録音である.透明な音色が作品の壮大さを際立たせ,作品の全体をガラス建築のように美しく輝かせている.

交響曲第8番は,第1部と第2部から構成されるが,私は,『涼宮ハルヒの憂鬱』で用いられた第1部を好む.
創造主の到来を謳った,壮麗な曲である.

Youtubeでは,サー・サイモン・ラトル指揮の動画を視聴することができる.サー・サイモンは,若くして業績をあげた指揮者であって,この交響曲第8番は,エネルギーに満ちあふれた演奏である.

アニメーションのBGMとして,クラシック音楽が用いられるのは良い傾向だと思う.クラシック音楽は,長い年月により淘汰され,現代にまで生存しえた作品であるがゆえに,申し分のない完成度である.それが,アニメーションの品質を高める.
アニメーションBGMとしてクラシックを使用した作品と云えば『新世紀エヴァンゲリオン』が印象的である.合唱という点では,物語のクライマックスに,Beethovenの交響曲第9番合唱付を使用したということが,『涼宮ハルヒの憂鬱』にまで通じているのかもしれぬ.

私は,クラシックと云うと,ほとんどピアノ曲しか聴かない.オーケストラの曲はあまり好みではないらしい.オーケストラで聴くのは,合唱が入っているものである.声が入ることによって,曲の壮大さが増すように思われる.
声と云えば,ピアノの伴奏に合わせた歌曲も好きである.たとえば,シューベルトの歌曲集,サティのje te veuxなどを良く聴く.シューベルトの魔王も非常に気に入っている.

一方で,最近の流行曲はほとんど聴くことがない.興味がないのである.
聴くと云えば,所謂アニソンやサントラの類である.

アニメのBGMと云うのも,完成度は様々であるが,ときに秀逸な音楽性を持った曲もある.
一例が,斉藤恒芳氏作曲によるピアノ曲『触覚の標本箱』『千々の扉』『侑子は微酔機嫌』の3曲である.いずれも,劇場版xxxHOLiCの劇伴曲で,高い完成度を誇る.
私がアニメ関連の音楽を良く聴くのは,このような秀逸な音楽に出会うためである.アニメのBGMとは云え,侮れぬものも多い.『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』や『ささめきこと』など,良質の音楽にあふれている.

私の生活に於いては,音楽は欠くことのできぬ重要な要素である.音楽は,生活を潤す天上の調べであり,至高の芸術である.人類が生み出したものの中で,最も美しい芸術である.