趣味のひとつ

ブログを放置して,気がつけば5ヶ月弱が過ぎていた.

要するに,ブログを書くことに早くも飽きてしまったわけである.
困ったものである.

さて,最近,マウリツィオ・ポリーニのCDを入手した.
ポリーニといえば,間違いなく世界最高峰のピアニストである.
理性的にコントロールされた冷徹なピアニズムは,ときとして感情のこもらない機械演奏と言われることもあるようだ.
而るに,それこそがポリーニの真髄である.
ポリーニは,感情にまかせることなく,その超絶なテクニックで作品の構造を浮かび上がらせる.そのために,ポリーニの演奏を聴くと,曲の構造がはっきりと分かるのである.

ただし,私はポリーニが最高のピアニストであると信じているが,彼の演奏法にはやはり向き不向きがあると思う.

Prokofievのピアノコンチェルト第3番について,ポリーニは,きわめて明確な,彫刻をするがごとくの演奏をしている.第1楽章の冒頭部分,一音も濁さず,細かなパッセージを明瞭に弾く.
悪くはないのだが,普段アルゲリッチの豪快な演奏に慣れているものとしては,明瞭すぎるような気がした.

本題に戻るが,入手したCDは,Stravinskyペトルーシュカ』,Prokofiev『ピアノ・ソナタ第7番』,Webern『ピアノのための変奏曲』,Boulez『第2ソナタ』を収録している.

特に,Prokofievのソナタ第7番の第3楽章がすばらしい.
かなりの速度で弾いているにもかかわらず,打鍵は正確である.そして,ポリーニ特有の冷たくクリアな音が,ともすれば雑然となりがちなこの曲をすっきりとまとめている.終盤の演奏難易度が高い部分でも,速度は変わらない.恐るべきテクニックである.

ピアノ・ソナタ第7番については,ソコロフの演奏も好きである.
ソコロフは,速度はゆっくりだが,演奏に表情がある.アルゲリッチの爆演と比較すると,抑制的で落ち着いた演奏である.