Powers BOX

講談社BOXと云うレーベルがある.
名前の通り,銀色の箱に入った単行本である.
有名なタイトルとしては,西尾維新化物語』シリーズが挙げられる.

対象読者層は,一般的なライトノベルが対象とする中高生よりもやや年齢層が上であろう.
尤も,最近ではライトノベルと一般文芸の境界は曖昧になってきている.それどころか,ライトノベルが一際存在感を表し始めている.入間人間の『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』は,電撃文庫ライトノベル界の最高峰レーベルと云って差し支えあるまい)に原作を持ち,実写映画化される.なかなかの豪華キャストであった.
あるいは,谷川流涼宮ハルヒ』シリーズは,全世界で1650万部を売り上げ,大ヒットした.

さて,講談社BOXの話に戻るが,講談社BOXは,Powersという新レーベルを立ち上げ,現在までに11冊のタイトルを発売している.まだまだ若いレーベルであり,今後の趨勢は不透明だが,いまひとつインパクトを欠くというのが印象である.

決して悪くはない.円山まどか『自殺者の森』は,非常に秀逸な作品であるし,神世希『神戯』は恐るべき浩瀚な奇書である.
良作があるのにもかかわらず,いまひとつ存在感が薄いようである.

おそらく,レーベルの立ち位置の問題が関係しているのだと思われる.

完全なライトノベルでもなく,かといって一般向けの文芸書というわけでもない.
若者向けの文芸書というポジションを確保したいのではなかろうかと思うが,未だ決定的な作品は出ていない.
今後の活躍を期待したい.

存在感が薄いとは云ったものの,私個人としては,お気に入りのレーベルである.毎月の発売を楽しみにしている.

Powers BOXは,箱に入っているが,ポップで明るいデザインが特徴である.見ていて楽しくなるような装丁の本である.