読書記録<天井裏の散歩者―幸福荘殺人日記>
店頭で興味を引かれて手に取った本.
- 作者: 折原一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/06/15
- メディア: 文庫
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大御所作家・小宮山泰三の住む幸福荘に集まってくる幾人もの作家志望者.彼らが,一人の美人な少女小説家・南野はるかを巡って事件を引き起こす.
いわゆるどんでん返しがいくつもあって,エンターテインメントとして十分に楽しめる作品.しかし,登場人物の描写が表層的で,人物が記号化されていたような気もする.ミステリィの分野では,登場人物が作者の駒となり,シナリオに忠実に動かねばならぬとしたら,このような記号化もやむなしかもしれぬ.
この点にわずかな不満を覚えながらも,物語の巧みな構築によって,読書を楽しむことができた.
この本の続編もあるようなので,読む予定である.
ちなみに,江戸川乱歩の作品で『屋根裏の散歩者』というものがあるらしい(読んだことはない)が,本書はそのオマージュだろうか.