読書記録<マージナルワールド2>
講談社BOX新人賞Powersを受賞した『マージナルワールド』の続編.
- 作者: 湊利記,村崎久都
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/10/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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携帯電話で自分に電話すると,「圏内」と呼ばれる異世界へと導かれる.そこでは,「アガシオン」と呼ばれるロボットに乗り込み,BAGsという敵を倒す.
作品の構成としては,異世界でのロボットアクションと,現実世界での主人公たちの生々しいコミュニケーションが折り重なるように配置されている.第2作となった本書では,新たな謎が提示され,異世界の根底に関わる情報が明らかにされていく.
主人公は大学生である.通常,ライトノベルというと,十代の若者(中高生)が主人公であることが多い.主人公の年齢が若干高いことにより,人間関係も中高生に比べて複雑化する. 大学の先輩である女性と体を重ねたり,周りには就活をしている学生がいたりと,大学生という年代でなければリアリティを持たない要素が盛り込まれている.
ロボットアクション小説とはいうものの,随所に現実性を補強する描写が多く,リアリティを失わない.たとえば,就活がうまくいかない学生,「圏内」での活動時間=通話時間であり通話料金がかかるという点,就職できなかったために大学院に進学する者,などである.著者の湊利記氏は,前作『マージナルワールド』執筆時点で就活中の大学生だったらしい.そのためか,就活の厳しい状況を含め,昨今の大学生の状況が生々しく描写されている.
本書は,大学生のための小説なのではなかろうか.