TRY UNITE!

非常に素晴らしい曲なので紹介せずにはおられない.

TRY UNITE!/Hello!(初回限定盤)(DVD付)

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1月より放送されているアニメーション『輪廻のラグランジェ』のオープニングテーマ曲.歌は,『マクロスF』のヒロイン,ランカ・リーを演じた中島愛さん.

まず,印象的な曲の導入部に続き,美しいメロディが流れる.新時代の歌姫ランカ・リーを思わせる伸びやかな中島さんの歌声が大変に爽やかな傑作である.あまりに完成度が高い.同時収録のピアノ伴奏ヴァージョンも鳥肌が立つほどの完成度を誇る.作曲は,スウェーデン出身のピアニスト・作曲家のRasmus Faber氏.近年のアニソンの中でも随一の曲ではなかろうか.

こういう曲は,もはやアニソンの範疇に留めることはできないのではないか.近年は,既存の分野が融合し,まったく新しい分野が勃興する時代である.文学で言えば,ライトノベルと文藝という両端が存在し,その中間に位置する作品(西尾維新などが代表的)が目立ち始めた.学問の世界でも同様の現象が起こっている.医学部と工学部の連携,数学・物理・情報科学と生物学が融合したシステムバイオロジー,医療の面では,トランスレーショナル研究が盛んになっている.このようにinterdisciplinaryなフィールドが大きな価値を持つ時代になった.アニソンも然りである.もはや,通常の音楽とアニソンを明確に区別することには,何の意味も無い.坂本真綾さん,水樹奈々さんのように,いわばアーティストとして活躍する人材さえいる.ときには,既存の概念でアニソンと捉えられる曲のほうが,むしろ完成度が高いという場合もあるように思う.本曲は,アニソンの範疇にとどまらない,音楽の本質に到達した芸術品である(不必要に難解でなく,気分を爽快にし,楽しませてくれるもの.音楽は楽しむもの.シプリアン・カツァリスの演奏の様子など,実に楽しそうではないか).

アニメ本編にも言及しておくと,XEBECがアニメ制作を担当している.最近のXEBEC作品というと,『To Loveる』や『えむえむっ!』,『変ゼミ』といった,あまり好ましくない出来の作品が多かったために,不安感が強かった.しかし,放送開始直後にその不安は見事に払拭された.まず,画面の配色が秀逸である.淡い色調に統一された画面が非常に美しく,透明感がある.特に海,水面の表現が素晴らしい.XEBECが本気を出したのだと思っている.