詰め込んで

すっかり読書記録と化してしまったこのブログである.それほど劇的な日常を送っているわけでもないから,書くべきネタはすぐに尽きる.仕事の話を詳しく書くわけにもいくまい.というわけで,前回から3週間ほど間があいたが,この期間に読んだ本を,まとめて記録しておく.こういうものは,毎日小出しにした方が長続きするうえに,毎日続くから筆者が怠け者の誹りを受けずに済むような気がするが.

まずは,メディアワークス文庫より『TOKYO GIRL'S LIFE II』.第1巻は,昨年あたりに読み,このブログにも記録したはず.その続きである.気軽に読めて実によろしい.前作と同様に,必ずしもハッピーエンドではないかとも思われるが,むしろ,残された希望の燠が見えるところに,心地良い余韻がある.

真夏の死―自選短編集 (新潮文庫)

真夏の死―自選短編集 (新潮文庫)

三島由紀夫の短編集.「クロスワード・パズル」「花火」が印象に残っている.巻末には,著者自らによる解説が行われている.上記の『TOKYO GIRL'S LIFE II』に比べると,やはり読み進めるのに労力を必要とする.だが,豊かな文学世界を味わえる.

メディアワークス文庫よりビブリア古書堂のシリーズ.ドラマ化もされたようだ.ただし,私は実写には興味がない.二人の漫画家によりコミカライズされている.大きな書店に行くと,特設コーナーが設置されているほどの盛り上がりぶりで,栞子さんの大きなパネルが立っているのには驚いた.今日のメディアワークス文庫が存在感を持ち始めているのも,このシリーズのおかげではないか.ライトノベルレーベルほど軽くはないものの,純文学ほど身構えるほどのものでもない.そういう手軽さが,メディアワークス文庫の強みか.先日,電撃大賞受賞作が本レーベルで出版されていた.そういう時代なのか.

魔法科高校の劣等生(9) 来訪者編<上> (電撃文庫)

魔法科高校の劣等生(9) 来訪者編<上> (電撃文庫)

電撃文庫より.このシリーズもとうとう9巻まできてしまった.そもそも,シリーズ最初の巻が上下分巻だったところからして何かただならぬ勢いを見せている本作は,その内容の圧倒的な精緻さで他の作品を凌駕する.今回は上中下の三巻体制らしい.いまだアニメ化の話はないが,コミカライズや,ドラマCDはすでに制作されている.アニメ化の可能性は十分すぎるほどである.一体何巻まで続くか分からないが,このスケールだと20巻は軽く到達しそうな気もする.ぜひとも息の長い作品となってほしい.最近流行の(?)妹萌え(本作では兄萌えだけれども)もふんだんに入っている.今後が楽しみな作品である.

青の時代 (新潮文庫)

青の時代 (新潮文庫)

またしても三島由紀夫の作品.主人公は,戦前後のころの東大法学部生.幼年期から青年期までを描く.前半では,主人公の性格を丁寧に分析して,その悲劇性を描いていく.だが,後半では,そういった描写もなりをひそめ,前半で焦点が合っていた主人公の性格的悲劇がぼけてくる.前半と後半では印象が違う作品なのである.この点については,解説でも述べられているし,三島由紀夫自身も,本作の仕上がりには自嘲的反省をしているらしい.「小説家はしっかりとした頭が第一」と主張する三島にしては,この作品はややピンぼけの感が否めない.解説者も願ったように,前半部の「明晰な」構成を最後まで保ってくれれば,読後に首を傾げることもなかっただろう.

さて,私は,新潮文庫の裏表紙の見返しにある「三島由紀夫の本」というリストの順番通りに三島作品を読んできた.今や折り返し地点を過ぎて,後半戦である.リストの順に従えば,次は『豊饒の海』シリーズである.しかるに,豊饒の海・第4巻「天人五衰」は,切腹直前に完成した,文字通りの遺作であり,三島の集大成であろうから,これを最後に読みたい.よって豊饒の海シリーズはあとまわしにして,次は『女神』を読もうと思っている.
最近は,川端康成に目をつけており,『眠れる美女』を読み進めているところである.こちらも,新潮文庫の全巻を読みたく思う.
いろいろな本を平行して読んでいるものだから,頭の中で混雑が起こっている.そのうえ,途中で止めて放り出したりすることもあるから,いよいよ収拾がつかない.困ったものである.